ダクト工事の注意

仁川ダクト

丸ダクトの接続

スパイラルダクトなどの丸ダクト同士の接続方法にはフランジ工法、差し込み継手工法などがあります。

フランジ工法は高い強度を要する接続に適した工法といえます。スパイラルダクトにフランジカラーを差し込んで、フランジ同士をボルトとナットで固定する方法です。直径が75~100mm程度の小径のダクトには板状のプレートフランジが使われ、200mm以上のダクトにはアングルフランジが使われます。

差し込み継手工法はニップルといわれる専用の継手をスパイラルダクトに差し込んで鉄板ビス(ピアスビス)で2~3点固定し、外側からダクトテープなどを巻いて接続する方法です。施工が比較的簡単で施工単価も安いので広く利用される接続方法です。なお、ダクトとニップルを鉄板ビスで固定するときは、万が一ダクト内に水が流れても漏水しない配慮も必要になるので、断面で見たときダクトの真下にビスを打たないようにします。

 

角ダクトの接続

角ダクト同士の接続方法にはアングルフランジ工法、スライドオンフランジ工法、共板フランジ工法があります。

アングルフランジ工法は接続の強度が優れているので、例えば排煙ダクトなどの堅強さが求められる環境で採用されることが多い接続方法です。ただし、ボルト締めやリベットかしめ、溶接の技術などを要するので、施工に手間がかかり、施工単価も高くなるので、一般的な空調設備のダクトの接続ではあまり採用されません。

スライドオンフランジ工法はアングルフランジ工法よりも施工が簡単です。フランジをダクトに差し込んでスポット溶接し、4隅のボルト、ナットによる締め付けと、ラッツといわれる専用の金物でフランジを押さえます。

一般的な空調設備のダクトの接続でよく採用されるのは共板フランジ工法です。ダクト本体の一部を折り曲げてフランジとします。ダクトの四隅はコーナーピースといわれる専用の金物をはめ込んでボルト締めで固定します。フランジを取り付ける手間が省けるので、アングルフランジ工法に比べると施工が楽といえます。

角ダクトの接続

ダクトの勾配

ダクトは水道管などと違い、内部に水を流す目的ではないので、勾配は気にする必要がないように思えますが、実際の施工では外の雨水が入り込む恐れや結露や湿気によって内部に水が溜まる恐れなどに備えてダクトに勾配が必要なケースがあります。

ダクトの勾配の付け方を誤れば、外からの雨をダクト内に呼び込んでしまい、ダクトを介して機器に水が入って漏電し、火災に繋がるといった最悪のケースも考えられますし、ダクト同士の継手部分がたわんで結露水が溜まり、やがてダクトを腐食させて漏水し、場合によっては高額な賠償問題になることなども考えられます。ダクトの施工では内部の水を有効に排水する勾配の配慮も必要になります。